ひとひろ

日常より、もう少し深いところへ。ひびのこと、たびのこと、ならのことを綴ります。

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明日を育てるシンデレラ【NAOTの靴】

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新たな出会いがあってご縁をいただいたので、育てはじめました。
毎日が慣れないことばかりで、まだ戸惑いますが、頑張っていきたいなと思います。

あら、何を育てはじめたかって?
……靴を、育てはじめました。

私はとんだシンデレラ

生まれてこの方、靴が足にぴったり来るという体験をしたことがありません。
踵が細すぎて、どんな靴でも脱げてしまうとんだシンデレラ。
可愛いパンプスも、歩きやすそうなスニーカーも、おしゃれなヒール靴も、全部諦めてきました。
加えて、もう腰が限界です。
どう足掻いてもあまりに靴が合わないので、靴選びはコンプレックスと苦痛のかたまりでした。
おしゃれなんて、楽しくない。

靴に絶望した私の最後の賭け

きっとまただめなんだよ。
暗い目をして呟きながら、ゆのじはにーさんに手を引かれて、ならまちを歩いていました。
例によって、履いてきた靴はなんだか合っていなくて、歩けば歩くほど唇が尖ってゆくばかり。
「とりあえず見るだけ、ね、見てみよう?」
宥めすかされ、たどり着いたのはガラス張りが清々しい、一軒の靴屋さん。
ならまちの『NAOT』さんは、入る前から素敵な靴の足音が聞こえてきます。

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思えば2年前、友人が思い切ってこちらの靴を手に入れるのに、一緒についてきたのが初めての出会いでした。
ちょっといい靴、は私には届かないような気がしていて。
本当はそのときから、履いてみたかったんです。
お店のスタッフさんたちが履いている靴はどれもこれも、年を重ねて味わい深い風合いになっていて。
愛情をかけて育てられた靴は、まるでオーダーメイドのようにそれぞれの足に沿っているのが、羨ましくてなりませんでした。
私も、私に寄り添ってくれる一足を見つけたい。
そんな、すがるような思いで、店内に足を踏み入れました。

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この子の名前は

『NAOT』さんの靴には、全てに名前がついています。
スタッフさんに導かれるがまま、並んだ靴に、こんにちは。
欲しかったハンサムな形の靴、「ケドナ」は私には少し浅くて、つんとそっぽを向かれてしまったよう。
でも、次に勧めてもらった「ダニエラ」は優しく足を包んでくれました。

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立ち上がって、足踏み。
うん、今までにないフィット感、かもしれない。
少し窮屈な部分があったのですが、「いつでも持ってきていただければ、革を伸ばしたり調節できますよ」とスタッフさんがにっこり。
お買い上げありがとうございました、で終わらないことが嬉しかったです。
まだ「ダニエラ」がどんな子なのか分からないけれど、一緒に歩んでみよう。
そう思って、お迎えしました。

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『NAOT』さんでは、足のお悩みから靴のケアまで、なんでも気軽に相談することができます。
量販店の売り場の片隅でささっと履いては失敗、を繰り返してきたのでひとつひとつの丁寧さに感動しました。
instagramもなさっているのですが、「#水曜日のおかえりNAOT」タグには想いが詰まりすぎていてきゅんとしますよ。

君と、新しく歩こう

「ダニエラ」と出会ってから数日。
折を見て履いているのですが、まだ正直革の硬さに足が馴染みません。
初日は思わず帰り道に「足がアイアンメイデン」と、にーさんにメッセージを送ってしまいました。

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でも、紐の締め方や靴下の具合など、色々微調整を重ねているうちに、少しずつ馴染んできた感覚があります。
しっかりとした靴底だから、大地を踏みしめたときの衝撃が吸収されるのです。
あと、中敷きがとても気持ちよく、土踏まずにフィットしてくれるのが本当にいい感じ。
人間関係と同じで、いきなり仲良くなるのは難しいもの。
丁寧に、大切に、育んでいきたいと思います。

いいものを長く、大切にしたい

歳を重ねるにつれて、モノへのこだわりが増してきました。
いいものを少しずつ、長く、大切にしてゆきたいです。
その第一歩として、『NAOT』の靴を。
ふてくされた顔で歩いた道を、今度は笑顔で歩きたいものです。
読んでいただき、ありがとうございました。

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ゆのじ